西洋医学・科学ベースの治療で筋硬結(コリ)をしっかりとっていきます。
科学・西洋医学ベースの鍼灸マッサージ
当院では、コリや痛みの生成・除去について生理学的な知見を重視しており、経絡・経穴の概念は用いていません。そのため、治療院名も「ドライ・二―ドリング(Dry Needling)」(*)といたしました。
当院は肩こり・首こりなどの「こり」や腰痛、五十肩、ひざ痛など「痛み」の原因を「過敏になったポリモーダル受容器(polymodal receptors, or polymodal nociceptors)」にあると捉え、治療対象として効果を上げています。
また、自律神経失調症、のぼせ・冷え、不眠、過活動膀胱、食欲不振、だるさ、などの自律神経系のトラブルも同様に、ポリモーダル受容器に対して適切な刺激を入れていくことで改善させていきます。(→自律神経系・免疫系の不調の改善)
(*)ドライニードリング(乾燥鍼)の語はあまり一般的ではありません。現状、国や論者によって定義が多少異なりますが、いわゆる「鍼(acupuncture)」との違いを大雑把に言うと、
両者とも道具として同じ「針」を使用しますが、
東洋医学(中医学)に基づいて経絡・気の概念に従って経穴(ツボ)に刺鍼するacupuncture(日本で一般に「鍼」というときはこちらの意味です)に対して、
欧米を中心に、西洋医学・解剖学的な知識に基づいて筋肉・筋膜(の硬結・圧痛点・トリガーポイント)を狙って刺鍼する手法は dry needling と呼ばれています。(詳しくは ドライ・ニードリングとは?をご参照ください。)
マッサージについても、あん摩・指圧の手法は取っていません。ただし西洋的な流す系のマッサージでもないので「マッサージ」の用語が正確ではありませんが他に良い語がないのでとりあえずマッサージとしています。ドライニードリングを指で行うようなピンポイント系の手技を多用します。
*日本の場合、経絡・経穴の概念を踏襲しながらも中医学とはまた別に独自の道を進み「日本鍼灸」と称されるように、「鍼管」を用い、「細い鍼」を「浅く刺す(あるいは刺さずに皮膚表面上の刺激の場合もあり)」というスタイルが多いようです。「名人になればなるほど浅く刺す」のような標語も目にしたことがありますがこれなどは完全に日本独自の考え方です。一般的な理解では経穴(ツボ)は皮膚にあるとされているので、刺さなくても効果がある、という論も成り立ちます。てい鍼という太くて先の丸い鍼(いわゆる「刺さない鍼」と称される金属の「棒」・「板」です)で経穴を押したり経絡に沿って摩ったりします。
「こり」をしっかり取っていきます。
触ってみて誰にでも明確に分かる形で筋硬結、すなわち「こり」を解消していきます。(詳しくは コリの正体と生成原因・メカニズム をご参照ください)
「楽になった」「すっきりした」という気分的な満足感(主観)はとても大切な要素であることは間違いありませんが、当院では、患者さんご本人や身体の専門家でない方にも、触ってみて客観的に柔らかくなったことが分かるレベルでのコリの解消を目的として日々治療を行っております。
一般的に、鍼灸やマッサージ治療の「効果」という場合、「鎮痛(痛みが減った・無くなった)」を指しています。(鍼の効果を調べる実験・論文でも同様で、被験者の痛みが減った・無くなった=「効いた」とされます。)
しかし、実はこの点に注意が必要です。
例えば、浅い鍼(皮膚内だけに刺す”優しい鍼”)でも遺伝子的に鎮痛効果が出やすい集団(おそらく人口の半数ほど)がいることが分かっています(詳しくは 浅い鍼・軽い刺激の治療 をご参照ください)。そしてこのような鎮痛効果は数時間(~数日間)持続すると言われています。もちろん、痛みを一時的でもカットすることは、現在、痛み研究の分野で解決されるべき中心的課題になっている質(たち)の悪い慢性痛に至ることを防ぐためにはとても重要なことであることは間違いありません。しかし、そもそもの痛みの原因である筋硬結(こり)が物理的に柔らかくなっているか否かは全く別の話です。
その一方で、遺伝子的に鎮痛効果の出にくい集団(人口のおよそ3分の1)がいる事も分かっています。残念ながらこの集団にとっては、浅い鍼(優しい鍼)による治療では鎮痛効果もこりの解消も起こりません。
当院では、このような生じるか生じないか分からない鎮痛効果、あったとしても一時的な鎮痛効果をもたらす治療ではなく、あくまでも痛みの発信源であるコリそのものを解消して根本から痛みを除去するということを主眼において日々施術を行っております。(詳細は鍼の鎮痛効果についてをご参照ください。)
この方法であれば、当院が着目しているポリモーダル受容器の性質上、鎮痛効果が出やすいか否かという体質的な影響を受けることを免れて安定した効果が期待できます。
関連記事 ☞ コリに特化した治療の具体的な意味